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賀川豊彦記念 松沢資料館の学芸員による雑記帳です。仕事上の出来語や、最新のイベント情報などを掲載します。(個人的な見解であり、資料館としての公式な見解ではありません。)
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先日、フランス大使館の旧庁舎が取り壊しになるのを機に、壊す前に一般開放して現代美術の展覧会場になることを聞き足を運んだ。『ノーマンズランド』、誰も所有者がいない地という表題だ。

実は、世界連邦の推進している国際連帯税の会合に、フランス大使館員の方が来訪されて、今後のフランス本国の方針他、懇談をさせて頂いたのだが、(その懇談内容はさておき)最後に同氏から、現庁舎を壊すに当たって美術展を開催しているので、是非どうぞとパンフレットを置いてゆかれた。
それならばと、数日後、仕事が終わってから訪ねてみた。金、土はなんと夜10時まであいているのだ。夜の展示がまた趣向をこらしていてみごとであった。

連日の仕事に疲労を覚えての広尾までの訪問であったが、駅から歩いて数分、ゲートをくぐるとそこは別世界であった。展示場へ入るやいなや、疲れなどなんのその。各種オブジェクトが自らの体内にが溶け込んでゆくかのごとき錯覚を覚えつつ狭い廊下を進む。大使の部屋から、館員の部屋まで個個の部屋、どれもにくぎ付けになる。

正直、なんとも表現のしようもない造形物たちを、理屈抜きで飛び込んでくるままに受けとめるほかしょうがない。個々の意味など考えるほうが野暮なのかもしれないが、視覚に飛び込む巨大な情報量には誰でも圧倒されてしまうだろう。

階段には、フランス人がこしらえた「鼻血」と書かれたネオンサインがあり、笑っていいのか、まじめにとらえてよいのか、戸惑いつつもそういう自分に一人苦笑してしまう(基の字は日本人の男の子に書いてもらったそうだ)。作者(クロード・レベック氏:仏)の意図にまんまとかかったのだろうか。陰から覗かれてはいないか、見渡してしまう。

もう朽ちて壊すだけの古い建造物が、その最後のともしびをひときわ明るく輝かせるように、どの部屋もきらめいている。現代美術にそれほど詳しいわけではないが、歴史系資料館の博物館学芸員を生業にする小生には、展示について考える刺激的な勉強の機会であった。もっともそのまま同じことをすれば、職にあぶれかねないが…

ありがたいことに、1月末で会期終了であったが、本日の夕刊によれば2月18日まで会期が延長されたとのこと。入場無料は不景気の世相にはありがたい。連日にぎわって入口で待たされるほどとも聞いているが、ご関心があるかたは最後のチャンスにどうぞ!ワークショップやパフォーマンスもあり。
http://www.ambafrance-jp.org/spip.php?article3719
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プロフィール
HN:
賀川資料館 学芸員 杉浦秀典
年齢:
59
性別:
男性
誕生日:
1964/10/06
職業:
博物館学芸員
趣味:
資料整理、バイク
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