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賀川豊彦記念 松沢資料館の学芸員による雑記帳です。仕事上の出来語や、最新のイベント情報などを掲載します。(個人的な見解であり、資料館としての公式な見解ではありません。)
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 世には、ツイッターなるものが出てきて久しいが、現代の情報の多量化と高速化に照らして、人間側の神経回路の処理速度はそれほど改善されていないせいであろうか、鳥のさえずりのごとく短い文字言語での表意が好まれているようである。小生にはそれほど関心はなく、ほとんど開くことも触れることもないのだが、だからと言ってそれほど不自由を覚えてはいない。 ある方が言うには、世の教育は記憶を高める傾向ばかりで、「忘れ方」の学習が欠けて居ると言っておられたが、忘れるどころか、さして必要かわからない断片的な情報を避ける教育も、忘れられているのではないだろうかと偉そうに構えて自己正当化を保とうとしている。
 
何にせよ、所詮小生は、時代に取り残されているのだろが、それほど一喜一憂するほど情報に渇望するような身分でもないので、必要も感じていないだけであるのだが、そうとは言え、世が短い情報を所望するのであらが、こちらもそれに合わせるのも配慮というものであろう。一つ、賀川豊彦の膨大な文献の中で、面白いと思える一言があれば、短く披露してみたいと欲したまでである。が、これもまたさして必要のあるかわからない断片情報なぬかもしれぬと、はてさてふと考え込んでしまうのだが…

さて、雲水遍路(全集23巻)を読んだ。次号の機関誌の原稿のための下調べであるが、いくつか興味深いことが述べられている。大正13年11月26日から、翌大正14年7月22日に帰国するまでの、アメリカ、欧州、パレスチナ、エジプトなどを遍歴した記録である。この紀行文の随想には、あらためて目新しくも珍しい、玉のような短い言葉が埋まっているように思えてならない。

そのひとつが、

『米国の文学も、米国の演劇も、日本及大陸のそれとは余程標準が違う。米国民は国民的年齢に於いて満十二歳であるとは、何人が評したことか知らないが、実に的中した言である。…』(全集23巻p‐44)

はて、どこかで聞いたことがある言い方なのではあいだろうか?そう、マッカーサーが太平洋戦争戦争直後に進駐した後、日本の民主主義の成熟度をたとえて言ったことばとされた、「12歳」発言と実につながるのである(下記参照先)。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%80%E3%82%B0%E3%83%A9%E3%82%B9%E3%83%BB%E3%83%9E%E3%83%83%E3%82%AB%E3%83%BC%E3%82%B5%E3%83%BC#.E3.80.8C12.E6.AD.B3.E3.80.8D.E7.99.BA.E8.A8.80

賀川が米国民は12歳とは何人が評したことか、と言っていることから考えると、当時、そのような表現方法がすでに米国民に適用されて久しく、一般に言説化されていたとうかがえる。あるいは、賀川が戦後最初にマッカーサーに会見した日本人であることから、うっかりマッカーサーに向ってこんなこと言ってしまって、マッカーサーがお返しに言ったのだろうか?まさか、そんなことはあるまい…

ちなみに、同巻p‐42には、なんとあの大富豪ロックフェラーに招かれて、昼食をとったとあり、ニューヨークのユダヤ人宗教大学から講演依頼があったことが、書かれている。賀川の交流の広がうかがわれる…










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プロフィール
HN:
賀川資料館 学芸員 杉浦秀典
年齢:
59
性別:
男性
誕生日:
1964/10/06
職業:
博物館学芸員
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