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賀川豊彦記念 松沢資料館の学芸員による雑記帳です。仕事上の出来語や、最新のイベント情報などを掲載します。(個人的な見解であり、資料館としての公式な見解ではありません。)
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左は、皆さまよくご存知のPen誌である。小生も毎号ではないが、これまで幾度となく手にし、その内容にひかれて駅やコンビニで衝動買いしてきた。申し分なくセンスの高い男性向けの情報誌である。最近ではキリスト教特集の別冊などが記憶に新しい。

そのPen誌2010/10/15号は、「蘇ったバウハウス」として、デッサウの取材を掲載した特集が組まれた。その記事をご担当した、日本パウル・クレー協会の新藤真知氏が、なんと冒頭に賀川の言葉を引用して下さったのである!
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『「建築は時代の心を選び、時代の心を外側に<ことば>として永遠に伝えるものである」と、社会思想家賀川豊彦は書いている。[…]』

と、新藤氏は書き出しで、賀川の建築論について触れて引用して下さっている。じつはリファレンスを受けた小生が、当館建設時の資料を差し上げたところ、採用して下さったのであるが、大変光栄なことである。

バウハウスといえば、モダン建築の旗手である。その徹底した合理主義の極みともいえる平面の組み合わせをした建築方法は、コンクリート製の学校建築のほとんどがそうであり、今やビル建築の基本は、箱型の平面の組み合わせがあたりまえといってよいだろう。日本の誰もが触れ、かつ影響を受けている思想なのだ。
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当館も、平面を組み合わせた「打ちっぱなし」コンクリートであるが、まさにその無駄のない合理性を生かした建築である。しかし、面白いのは、そのような平面を基調にしながらも、中庭(光の庭)では突然、ニョキっと、松沢教会旧礼拝堂が顔を出す。礼拝堂というと、教派や個体によって様々とはいえ、多くはプレモダン建築の代表であり、豪奢な装飾に彩られ、意味を持たせる表象にあふれているというのが通念であろう。それが、当館では、平面の途中に突然ドッキングしているのである。しかしそれが、違和感や意表を突くといった奇を衒うような印象ではなく、あまりに安定した溶け込みを見せているのは見事としか、いいようがない。

プレモダンとモダンを合わせた、ポストモダン的というか、遊び的なおもしろさからの設計なのだろうか?(ルーブル美術館のガラスのピラミッドなどは有名である。)しかし当館を設計した阿部勤先生(アルテック総合建築設計)は、決してそういうことを意識して狙ったわけではなかったと、昨年、25年章の選考で建築家協会の皆さまとお越しの際に言っておられたが…

何にせよ、冒頭一文で、バウハウス建築と賀川豊彦との関係性をあらたに切り開いて頂けたことは、大変嬉しいことである。新藤様には心より感謝を申し上げたい。

皆さまには、是非書店でお買い求め頂きたい!
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プロフィール
HN:
賀川資料館 学芸員 杉浦秀典
年齢:
59
性別:
男性
誕生日:
1964/10/06
職業:
博物館学芸員
趣味:
資料整理、バイク
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