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賀川豊彦記念 松沢資料館の学芸員による雑記帳です。仕事上の出来語や、最新のイベント情報などを掲載します。(個人的な見解であり、資料館としての公式な見解ではありません。)
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友愛公共フォーラムの最終回が今度の日曜日に開催される。微力ながらも当館もご協力させて頂いている。よろしければどうぞ参加下さい。

第5回友愛公共フォーラム「学びと学問のイノベーション」
 
 
 日本の将来は、「教育と学問の改革」にかかっていると言っても過言ではないでしょ
 う。そこで、第5回を迎えた今回のフォーラムでは、「創造的破壊による新結合とし
 てのイノベーション」(シュムペーター)をキーワードに、学びと学問のイノベー
 ションについて、議論したいと思います。
 
 第1部では、鈴木寛文部副大臣のほか、教育現場の改革に取り組んでいる方々の問題
 提起を基に、「学びのイノベーション」について議論します。第2部では、タコツボ
 的に業界化した学問世界を刷新し、良質の出版文化を創出すべく、大学教員と大学出
 版の方々に切実な問題提起をしていただき、「学問のイノベーション」について論議
 します。そして第3部では、学問と教育の改革について白熱教室を開き、議論を深
 め、リアルな熟議を通して教育政策をもイノベーションするような展望を切り開きた
 いと思います。奮ってご参加ください。
 
 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 【プログラム】
 
 
 10:00-10:10
 開会の挨拶 小林正弥(千葉大学法経学部教授)
 
 第1セッション 「学びのイノベーション」
 
 10:10-10:55
 「コミュニティソリューション(熟議と協働)を通じた学びのイノベーション」
 鈴木寛(文部科学副大臣)
 10:55-11:25
 「農を通じたグローカルな学びの現場」
 荒川朋子(学校法人アジア学院 アジア農村指導者養成専門学校 副校長・事務局
 長)
 11:25-11:55
 「遊びと教室のイノベーション」
 中川綾(株式会社アソビジ 代表取締役)
 11:55-12:15    質疑応答
 12:15-13:15    昼食
 
 第2セッション 「学問のイノベーション」
 
 13:15-13:45
 「新しい公共と学問のイノベーション」
 山脇直司(東京大学大学院総合文化研究科教授)
 13:45-14:15
 「交響と公共 リベラル・アーツの新しい可能性」
 伊東乾(作曲家・指揮者、ベルリン・ラオムムジーク・コレギウム芸術監督)
 14:15-14:45
 「大学出版の編集と学問のヴァーチュー」
 橘宗吾(名古屋大学出版会 常務理事・編集部長)
 14:45-15:05     質疑応答
 15:05-15:25    休憩
 
 第3セッション 白熱教室「これからの学問と教育の話しをしよう」
 
 15:25-16:25
 ファシリテーター:小林正弥(千葉大学法経学部教授)
 16:25-17:05
 登壇者からのコメント
 
 17:05-17:15
 閉会の挨拶 鈴木寛(文部科学副大臣)
 
 
 司会:木戸寛孝(本フォーラム事務局長)
 
 
 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 ◆ 日時:2011年3月6日(日)10:00~17:15(受付開始:9:40~)
 ◆ 会場:青山学院女子短期大学 北校舎2階 N202教室
 ◆ 住所:〒150-8366 東京都渋谷区渋谷4-4-25
 ◆ マップ(広域):http://www.luce.aoyama.ac.jp/access/
 キャンパスマップ:http://www.luce.aoyama.ac.jp/campusmap/
 ※当日は正門のみ入校が可能です。他門からは入校できませんのでご注意下さい。
 ◆ アクセス:JR山手線「渋谷駅」宮益坂方面の出口より徒歩約10分
 地下鉄「表参道駅」B1出口より徒歩約5分
 ◆ 定員: 130名(事前予約制)
 ◆ 参加費:一般2000円 / 学生1000円
 ◆ 申込方法:WEBフォームより事前にお申し込み下さい。
 
 ※当日、事前予約の無い方はご入場できません。
 ※当日、受付にてお名刺を頂戴させて頂きます。
 ※当日、受付にて身分証をご提示頂く場合もございますので予めご了承ください。
 ※当日の昼食は各自でご用意頂くか、付近の飲食店をご利用下さい。なお学内の食堂
 は休業です。
 
 主催:友愛公共フォーラム
 特別協力:財団法人雲柱社 賀川豊彦記念・松沢資料館
 協力:公共哲学ネットワーク / 地球平和公共ネットワーク
 
 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 友愛公共フォーラム事務局 担当:中森園子
 〒150-0002 東京都渋谷区渋谷2-7-9 青山AZITO
 電話: 03-6427-3780   FAX: 03-6427-3781
 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 
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皆様ご存知の、著作権が切れた作品、鋭意掲載している青空文庫に、ついに賀川作品が掲載されることになった。

賀川は、1960年4月23日に没している。なので、翌年1961年1月1日から起算して、今年が満50年、国内法では著作権が切れる年限である。(外国では70年、なかには90年にしろという声も高い。)

これを機会に、今後さらに加速する電子出版と、既存の製本出版との関係など、お考えになってみてはいかがだろうか?

http://www.aozora.gr.jp/cards/001468/card51160.html
以下は、戦後に賀川豊彦自身が回顧して書いた新聞記事である。大変、重要な内容が含まれていると思うので、ご研究者には、是非今後詳細にご検証頂きたい。表記は当時のものを尊重しているが、一部現代かなに直している。また、読売新聞の著作権に関する部署へは、連絡済みである。

尚、これらに関する一連の資料的な紹介は、次号の『賀川豊彦研究』(本所賀川記念館刊)に拙稿の資料紹介にて掲載予定である。
それでは、以下、ご精読あれ。


 『夢の対米交渉 半生の記』 賀川豊彦

「貧民くつ生活十四年八カ月、ゴロツキに脅迫せられ前歯をおられ、ピストルでおどされ、殺人犯の前科者に追い回された経験から労働運動、農民運動、協同組合の組織運動に移ったので、今でも、唯物的な暴力運動で社会がよくなろうとは全然考えていない。そういう人々は、ドン底生活を知らない人々の言うことであって、社会構成の要因を知らぬ人が勝手な理由をつけているのだと私は痛感している。
貧民くつで苦しんだから、労働運動や、平和運動で度々監房や、刑務所にぶち込まれても、かえってそこが貧民くつより靜かでもあり清潔でもあったために、休憩ができてすこしもつらくはなかった。
  だが、田中義一内閣ができ、荒木陸相が強力な侵略主義を取り出した時に、私は全く困ったことになったと思った。1936年、私は万国日曜学校大会の講師に頼まれてスエーデンに行った。日本に帰ってくると、近衞首相が、またスエーデンに日本の立場を弁解に行ってくれと言ってきた。永田町の官邸に私は首相と会った『支那へ戦乱を拡大させないと言う事を約束してくださるなら、スエーデンに行きますが、その保証がないと行ってもダメですから』と答えた。すると、近衞首相から『私としては、何とも言えないですよ』という返事を受けた。『それでは、スエーデンにお使いしても、むだですから、どうかごかんべんを願います』と言い残して帰ってきた。
 私は1936年の春から夏にかけて全米の恐慌期に、アメリカの副大統領ワレース氏の秘密の依頼を受けて、キリスト精神に基づく協同組合の組織運動にアメリカ47州(フロリダ州を除く)を駆けめぐった。表面は宗教講演であったが、当時農林大臣をしていたワレース氏が協同組合でなければ、恐慌打破はできないからというので、日曜日の午前9時、新聞記者のいない事をよき幸いとしてワシントンの農林省で、ワレース氏に会い、彼の希望を飲み込んで、全米にみなぎる「反協」運動を無視して、活動した。「二丁ピストルのノリス」という南バプチスト教会牧師が私の行くところどころでも飛行機でやって来た。そして「カガワの暴露」という下に、大会場をかりて、私の反対演説をやって回った。それがかえって、群集心理を興じさせ私の演説会にいつも七千人、一万人と集まった。貧民くつのゴロツキにいじめられていると思えば、平気なものであった。約六カ月アメリカを巡礼して、アメリカ人の美しい方面と、悪い方面がよくわかった。ノーベル受賞者シンクレア・ルイス氏の如く、小説「協同組合」を書いて、私の実名をあげて、私に感謝してくれたのもこの時であった。それで、アメリカの都市消費組合運動はうんと前進したことは、私の半生のなかで最も感謝する一つの出来ごとであった。これらの影響でカリフォルニア州の労働組合同盟が「排日法」の撤回を決議してくれたが、満州事変のために、これも全くおじゃんになってしまった。
  1939年12月、私はインドに行く途中、上海のメソジスト教会で「支那に赦罪する」という演説をした。それがたたって私は1940年8月26日東京渋谷憲兵隊の独房に監禁されることになった。18日間そこに死を覚悟して、静かにめい想生活を送っていた。遂に東京地方裁判所を経て、巣鴨刑務所未決監に回された。すると四日目の晩午後7時半突然私は釈放された。変なことがあるものだと、思っていると、外務大臣松岡洋右氏から電話がかかってきた。『賀川君、でてきたか?よかったね。ぼくは憲兵司令官に依頼して君を出してもらったんだよ』ということであった。乃木大将の友人で会った陸軍少将日是信亮氏は、『松岡は君に依頼して平和工作にアメリカへ行ってもらいたいのだよ』といっていた。
  その話が事実になったのは翌年の3月であった。わたしは近衛内閣の外務省に頼まれてアメリカへ「キリスト教の平和使節」の一団と一緒に出かけた。5月27日シカゴ・トリビューンは大統領ルーズヴェルト氏が「日米戦争はあくまでも避ける」と大きなトップ記事として発表した。それで、私は、目的を達したと喜んでいた。すると日本の陸軍が仏領インドシナに駐留した新聞記事が出た。米政府は日本の在米資金三十億ドルを全部差押さえてしまった。1941年8月4日ロサンゼルスの四百の新教教会が「カガワ・デー」を守り、日米の平和のために祈ることになっていた。しかし、8月3日最後の日本船遠州丸がサンフランシスコを出ることになり、私がそれに乗込まなければ日本に帰る希望がなかった。それで、私は「カガワ・デー」の講演を拒絶し、8月16日日本に帰った。
  昭和十六年九月五日晩、私は近衛首相と西荻窪の有馬頼寧伯の邸宅で約三時間日米平和工作につき懇談した。近衛公はあくまで平和論を私にとき、陸軍の戦争主義を押さえて、是非大統領ルーズベルトと会談し、平和に導きたいから、電報を打ってくれ、と要求せられた。で、私は外務省の省内電信局を利用して五千円の金を費やして大統領その他キリスト教の中心人物に電報を打った。インドのガンジー翁の知友スタンレー・ジョーンズから「もうダメだ。ここ一週間が危ない。ワシントンで徹夜の祈とう会を開くから東京でも開け」という電報がきたのが、12月1日だと記憶する。私たちは連日連夜不眠の祈とう会をひらいた。一週間つづけて後ロウソクの火をふき消したとき真珠湾攻撃の号外がはいった。そして、日本はついに敗れ、近衛公は自殺してしまった。今思うと全く夢である。(宗教家)」 

 
<読売新聞 昭和28年11月9日 掲載>
前々回の欄で、友愛労働歴史館における講演会にて、渋沢資料館の井上館長がご登壇されると紹介したが、その関連することを一つ。

昨秋、毎年開催の賀川豊彦記念講座委員会の講師としてお出で頂いた、渋澤健さまより、新年のご挨拶とニュースレターを頂戴した。とても素晴らしい内容なので、皆さまと分かちあいたい。お察しの通り、渋澤健氏は、かの有名な渋沢栄一(歴史上の人物なので、敬称略)のご子孫である。

面白い内容が中にあるので、ご紹介したい。それは、渋沢翁は、資本主義の父といわれながらも、実は資本主義ではなく、「合本主義」という立場であったというのである。「資」一つに帰するのの対して、「合」は二つ以上のものによると言っておられる。非常に重要なポイントだと思うので、是非じっくりご覧頂きたい。

渋沢記念財団では、今年の研究テーマとして、「合本主義」について研究されるとのことである。成果が楽しみであるが、なにか協同組合的なものも感じるところである…

尚、転載の許可については、ご本人様より頂戴している。


>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>

新年おめでとうございます。
今年もどうぞよろしくお願いいたします。
 
年末年始の厳しい寒さの中、はだかの木に
複数のつぼみを見つけてちょっと心が暖まりました。
次の季節に自然界は、既に準備しているんですね。
 
さて、私は一年をかけて、2500キロ(北見から那覇までの
直線距離に相当)を歩くチャレンジに取り組んでおります。
このチャレンジの趣旨にご賛同いただける方々は、ぜひ、
その応援を小額寄付として表明してください。ACEという
児童労働問題に取り組むNPOへの支援金となります。
簡単に寄付できますので、詳細は下記のリンク先をご覧
くださいませ。
現在のチャレンジ達成度は9%ぐらい、応援は5%です。
一人で歩くのは、ちょっと寒い季節なので、お気持ちが
一緒に歩んでいただければうれしいです!
 
 
□ ■ □   □ ■ □   □ ■ □   □ ■ □
謹啓 あけましておめでとうございます。
 
リーマンショックをきっかけとした「百年に一度」の経済危機から約二年。米英
独など欧米先進国の平均株価指数はショック以前の水準まで回復していますが、
日本の株式市場の立ち直りはもたついています。欧米の金融機関と比べ日本の金
融機関はショックから受けた傷は浅く、また技術革新を通じて世界成長のけん引
役となる日本企業も多いはずです。このようにヒトとカネという豊富な資源に恵
まれているにも関わらず、その評価では欧米先進国との格差が生じている原因に
は、残念なことに、「経済大国」日本の運営への不信感があるからでしょう。
 
政権交代に国民が期待したのは政治体制の新陳代謝によって日本の未来が拓ける
ことでした。しかし、永田町内の闘争に政治の行方が大きく左右される中、外交
情勢やTPPという今後の日本の舵とりにとって極めて重要な課題について、的確
な判断が見送られています。また、所得税や相続税の増税という、がんばる日本
人が報われないことを象徴する帳尻合わせの税制改正大綱を閣議決定しました。
これでは未来を拓いているどころか、日本の将来のあるべき輝きをますます曇ら
せています。日本の将来の発展を目指す国会議員が党派を超えて税制改正関連法
案の国会審議に反対の意を唱えることを切に願っています。
 
民主主義先進国である米国では上下院議員の投票記録が公表されているはずと思
い、インターネットで「congress」「monitor」というキーワードを検索したと
がってきました。米上下院議会の各議員の投票記録の詳細が見事に分析開示され
ています。一方、「国会」「監視」、「モニター」、「投票記録」と検索して
も、日本では国会議員の投票実績を示す情報開示の存在は確認できませんでし
た。民意を反映すべき国会議員の投票実績が簡単にアクセスできず、不完全な情
報を基に実施される選挙では、民からのガバナンスが確保されているとはいえま
せん。このような政治に日本の未来を拓く期待を寄せることは、実は国民の責任
転換に過ぎないのかもしれません。
 
国の資源を国民に再配分することは、政府の重要な役目のひとつです。ただ、中
央政府に再分配の権力が集中することは、貧しい国の高度成長期には効率的な体
制でありましたが、画一的な価値観に偏ってしまうため、現在の地域社会の多様
性に充分に応えることができず限界が生じます。「資源(ヒト、カネ)の有効的
な再配分」とは、投資の本質的な定義です。そして、投資とは「時間の旅」とい
う未来志向が内在しています。全ての投資が画一的な価値観にもとづき、その場
限りの快楽に留まるようであれば、資源の再配分は有効的になるどころか、経済
社会の環境変化やショックに対して脆弱な危険があります。投資には、ひとつの
正しい答えが存在しているわけではなく、価値観や時間軸の多様性により、資源
の再配分の最適化を図ることができます。そして、その投資に多様性を提供する
のは民間に他なりません。ところが、現在の日本が抱える最大の課題は、まるで
マニュアル化されたように価値観や時間軸が画一化され、民間の資源再配分の最
適化が乏しくなってしまったことです。
 
日本が維新を経て近代先進国へ仲間入りした時代の国力の源泉には、乏しい資源
に知恵と労力を加えて付加価値を生み出し、内外の商業を通じて経済発展した民
間力がありました。当時の世界列強の脅威によって日本は目覚め、それまで築い
た道のりとは異なる未来を歩み始めたのです。そしてまた、経済大国としてあぐ
らをかいている最中に欧米やアジアの競合国が脅威として現れた今、維新の時代
と同様に日本がふたたび目覚めることを切に願っている人々は少なくありませ
ん。1853年の黒船来航から、日本初の銀行である第一国立銀行設立によって
新しい経済社会への門を開く1873年まで20年の歳月を要した事を鑑みる
と、日本に新しい時代が到来するまで数十年の年月がかかるということに焦る必
要はありません。時は熟しています。
 
第一国立銀行を設立した渋沢栄一は「日本資本主義の父」と評されますが、実は
「資本主義」という言葉を使った形跡がないという興味深い事実があります。栄
一が提唱したのは「合本式」、あるいは「合本主義」でした。合本と資本の意味
には微妙な違いがありそうで、この原点を再検証することが、これからの新しい
時代の経済社会を導く際に参考になるかもしれません。
 
資本の【資】の意味は「もとで」、「生まれつき」。また、資本は英語で
【capital】であり、capitalの原語は【capita】、つまり【頭】です。従って、
資本とは単一的な存在に付属する概念であり、かつ、優位性の順位を感じさせる
存在です。一方、合本の【合】は「ふたつ以上のものが一つに集まること」であ
ります。合本の英訳は【bind】となっていますが、「合本主義」の適切な英訳を
考えることは、色々な特性を引き出せる、面白いプロジェクトになりそうです。
栄一が第一国立銀行を設立する際に伝えた「ぽたぽた垂れる滴が寄り集まれば原
動力ある大河となる」合本には特に優位性がない”AND”という特性があります
が、一方、資本には”OR”という優位性、あるいは有益性を比較する特性があり
ます。
 
ヒト・カネに加え、日本には時間という貴重な資源があります。”OR”による有
益性の判断を下すべき直面で、「考えてみる」、「検討する」という一声で、時
間がズルズルと消耗される傾向が日本人の日常生活でも国家レベルでも目立ちま
す。一方、”AND”は有益性の否定ではありませんが、大きな判断ではなく、小
さくてもよいから、多くが同じ方向へ動くことに有効性があるという考えなので
す。資本主義は大の有益性のために支配するという向きがありますが、合本主義
は大の有効性のために合わせて参加する意義があるようです。そういう意味で
は、合本主義で不可欠な要素は、多数が今日より明るい明日を迎えたいという共
感によって寄り集まることであります。新年は、日本の最も貴重な資源、ヒト、
カネ、そして時間を有効的に活用することによって、共に日本の新しい時代を拓
く一年にいたしましょう。
 
 
□  ■  付録: 「渋沢栄一の『論語と算盤』を今、考える」  ■  □
 
          「渋沢栄一訓言集」実業と経済
 
         国家の政治は財政を基礎とし、
         財政は経済を基礎とする以上、
       この経済機関の運転手たる実業家は、
           あらゆる政治問題に対し、
       常に中心的勢力であらねばならない。
 
国力の根源は経済力であるということは、栄一の時代でも、現代でも変わりませ
ん。陳情を繰り返しながら、日本の現状に嘆き、「政治が悪い」と指をさすの
は、単に責任転嫁になります。「グランド・ビジョンを描くべき」と政治に丸投
げすることより、一人ひとりがやれるところから、やる。それが”AND”の思想
です。
 
 
    「渋沢栄一伝記資料」社会公共事業尽瘁 社会公共事業
 
      明治初年の実業界は極めて微弱なものであつた。
            商人は小売、工業は手内職、
      これが日本の当時に於ける商工業の有様であつて、
         従つて資本の如きも極めて僅少なもので、
   銘々僅かな資本を持つては手内職をやり、それで満足して居た。
   その時代の欧米諸国は如何といふに、英国にせよ、米国にせよ、
             何れも合本主義である。
     商工業者の資本を集め、之に新進の学理を応用して、
        大仕掛けに仕事を仕様といふのである。
       鎖国で押通せるならこれで文句はないが、
 一旦国を開いて外国と交際するとなると、到底こんな有様では行かぬ。
 
職人的精神で内向きになっていることに満足している日本人。一方、欧米は大仕
掛けでグローバル・スタンダードをつくっている。明治や平成と時代が変わって
も、同じシーンが浮かび上がってきます。高齢化する日本にとって世界の成長は
不可欠であり、鎖国化は国の繁栄モデルの選択肢としてありえない。しかし、
「合本」思想であれば未来は拓けるかもしれません。
 
                                    
   謹白
 
              平成23年1月06日
 
              渋澤 健
 
* * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * Shibusawa and Company, Inc.
2-4-5 Hirakawa-cho 5F
Chiyoda-ku, Tokyo 102-0093
TEL:    (03)3556-9970
* * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * □■ Commons Asset Management, Inc. ■□
     HRL:   http://www.commons30.jp         
いつもお世話になっている、友愛労働歴史館の事務局長間宮悠紀雄様より、下記のご案内を頂いた。
ご紹介するので、是非ご参加願いたい。ちなみに、講演者の井上館長とは、アーカイブズの関係でいろいろお世話になっており、昨年の今頃、表敬訪問させて頂いたこともある。
なお、参加ご希望の場合は、Eメールでの申し込みが必要なので、下記アドレスまでお願いします。
(雑芸員も参加予定)             
                                                      以上
 
              記
◇日 時    2011年1月26日(水)午後2時~午後4時
◇会 場    港区立港勤労福祉会館 1階 第一洋室
       〒108-0014 東京都港区芝5-18-2
    ℡03-3455-6381(添付地図参照)
 ◇テーマ 「鈴木文治・友愛会と渋沢栄一」
 ◇講 師    渋沢資料館館長 井上 潤 氏
 ◇その他 参加費無料
 
 友愛労働歴史館  〒108-0014 東京都港区芝4-8-2 興和三田ビル3F 
             財団法人日本労働会館内
             ℡050-3473-5325、Fax03-3451-1710
             Eメール  yuai@yuairodorekishikan.jp
             ホームページ http://www.yuairodorekishikan.jp/
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プロフィール
HN:
賀川資料館 学芸員 杉浦秀典
年齢:
59
性別:
男性
誕生日:
1964/10/06
職業:
博物館学芸員
趣味:
資料整理、バイク
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