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賀川豊彦記念 松沢資料館の学芸員による雑記帳です。仕事上の出来語や、最新のイベント情報などを掲載します。 (主観的な情報も含まれますので、館としての公式見解でないものであることをあらかじめご了承下さい。)
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前々回の欄で、友愛労働歴史館における講演会にて、渋沢資料館の井上館長がご登壇されると紹介したが、その関連することを一つ。

昨秋、毎年開催の賀川豊彦記念講座委員会の講師としてお出で頂いた、渋澤健さまより、新年のご挨拶とニュースレターを頂戴した。とても素晴らしい内容なので、皆さまと分かちあいたい。お察しの通り、渋澤健氏は、かの有名な渋沢栄一(歴史上の人物なので、敬称略)のご子孫である。

面白い内容が中にあるので、ご紹介したい。それは、渋沢翁は、資本主義の父といわれながらも、実は資本主義ではなく、「合本主義」という立場であったというのである。「資」一つに帰するのの対して、「合」は二つ以上のものによると言っておられる。非常に重要なポイントだと思うので、是非じっくりご覧頂きたい。

渋沢記念財団では、今年の研究テーマとして、「合本主義」について研究されるとのことである。成果が楽しみであるが、なにか協同組合的なものも感じるところである…

尚、転載の許可については、ご本人様より頂戴している。


>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>

新年おめでとうございます。
今年もどうぞよろしくお願いいたします。
 
年末年始の厳しい寒さの中、はだかの木に
複数のつぼみを見つけてちょっと心が暖まりました。
次の季節に自然界は、既に準備しているんですね。
 
さて、私は一年をかけて、2500キロ(北見から那覇までの
直線距離に相当)を歩くチャレンジに取り組んでおります。
このチャレンジの趣旨にご賛同いただける方々は、ぜひ、
その応援を小額寄付として表明してください。ACEという
児童労働問題に取り組むNPOへの支援金となります。
簡単に寄付できますので、詳細は下記のリンク先をご覧
くださいませ。
現在のチャレンジ達成度は9%ぐらい、応援は5%です。
一人で歩くのは、ちょっと寒い季節なので、お気持ちが
一緒に歩んでいただければうれしいです!
 
 
□ ■ □   □ ■ □   □ ■ □   □ ■ □
謹啓 あけましておめでとうございます。
 
リーマンショックをきっかけとした「百年に一度」の経済危機から約二年。米英
独など欧米先進国の平均株価指数はショック以前の水準まで回復していますが、
日本の株式市場の立ち直りはもたついています。欧米の金融機関と比べ日本の金
融機関はショックから受けた傷は浅く、また技術革新を通じて世界成長のけん引
役となる日本企業も多いはずです。このようにヒトとカネという豊富な資源に恵
まれているにも関わらず、その評価では欧米先進国との格差が生じている原因に
は、残念なことに、「経済大国」日本の運営への不信感があるからでしょう。
 
政権交代に国民が期待したのは政治体制の新陳代謝によって日本の未来が拓ける
ことでした。しかし、永田町内の闘争に政治の行方が大きく左右される中、外交
情勢やTPPという今後の日本の舵とりにとって極めて重要な課題について、的確
な判断が見送られています。また、所得税や相続税の増税という、がんばる日本
人が報われないことを象徴する帳尻合わせの税制改正大綱を閣議決定しました。
これでは未来を拓いているどころか、日本の将来のあるべき輝きをますます曇ら
せています。日本の将来の発展を目指す国会議員が党派を超えて税制改正関連法
案の国会審議に反対の意を唱えることを切に願っています。
 
民主主義先進国である米国では上下院議員の投票記録が公表されているはずと思
い、インターネットで「congress」「monitor」というキーワードを検索したと
がってきました。米上下院議会の各議員の投票記録の詳細が見事に分析開示され
ています。一方、「国会」「監視」、「モニター」、「投票記録」と検索して
も、日本では国会議員の投票実績を示す情報開示の存在は確認できませんでし
た。民意を反映すべき国会議員の投票実績が簡単にアクセスできず、不完全な情
報を基に実施される選挙では、民からのガバナンスが確保されているとはいえま
せん。このような政治に日本の未来を拓く期待を寄せることは、実は国民の責任
転換に過ぎないのかもしれません。
 
国の資源を国民に再配分することは、政府の重要な役目のひとつです。ただ、中
央政府に再分配の権力が集中することは、貧しい国の高度成長期には効率的な体
制でありましたが、画一的な価値観に偏ってしまうため、現在の地域社会の多様
性に充分に応えることができず限界が生じます。「資源(ヒト、カネ)の有効的
な再配分」とは、投資の本質的な定義です。そして、投資とは「時間の旅」とい
う未来志向が内在しています。全ての投資が画一的な価値観にもとづき、その場
限りの快楽に留まるようであれば、資源の再配分は有効的になるどころか、経済
社会の環境変化やショックに対して脆弱な危険があります。投資には、ひとつの
正しい答えが存在しているわけではなく、価値観や時間軸の多様性により、資源
の再配分の最適化を図ることができます。そして、その投資に多様性を提供する
のは民間に他なりません。ところが、現在の日本が抱える最大の課題は、まるで
マニュアル化されたように価値観や時間軸が画一化され、民間の資源再配分の最
適化が乏しくなってしまったことです。
 
日本が維新を経て近代先進国へ仲間入りした時代の国力の源泉には、乏しい資源
に知恵と労力を加えて付加価値を生み出し、内外の商業を通じて経済発展した民
間力がありました。当時の世界列強の脅威によって日本は目覚め、それまで築い
た道のりとは異なる未来を歩み始めたのです。そしてまた、経済大国としてあぐ
らをかいている最中に欧米やアジアの競合国が脅威として現れた今、維新の時代
と同様に日本がふたたび目覚めることを切に願っている人々は少なくありませ
ん。1853年の黒船来航から、日本初の銀行である第一国立銀行設立によって
新しい経済社会への門を開く1873年まで20年の歳月を要した事を鑑みる
と、日本に新しい時代が到来するまで数十年の年月がかかるということに焦る必
要はありません。時は熟しています。
 
第一国立銀行を設立した渋沢栄一は「日本資本主義の父」と評されますが、実は
「資本主義」という言葉を使った形跡がないという興味深い事実があります。栄
一が提唱したのは「合本式」、あるいは「合本主義」でした。合本と資本の意味
には微妙な違いがありそうで、この原点を再検証することが、これからの新しい
時代の経済社会を導く際に参考になるかもしれません。
 
資本の【資】の意味は「もとで」、「生まれつき」。また、資本は英語で
【capital】であり、capitalの原語は【capita】、つまり【頭】です。従って、
資本とは単一的な存在に付属する概念であり、かつ、優位性の順位を感じさせる
存在です。一方、合本の【合】は「ふたつ以上のものが一つに集まること」であ
ります。合本の英訳は【bind】となっていますが、「合本主義」の適切な英訳を
考えることは、色々な特性を引き出せる、面白いプロジェクトになりそうです。
栄一が第一国立銀行を設立する際に伝えた「ぽたぽた垂れる滴が寄り集まれば原
動力ある大河となる」合本には特に優位性がない”AND”という特性があります
が、一方、資本には”OR”という優位性、あるいは有益性を比較する特性があり
ます。
 
ヒト・カネに加え、日本には時間という貴重な資源があります。”OR”による有
益性の判断を下すべき直面で、「考えてみる」、「検討する」という一声で、時
間がズルズルと消耗される傾向が日本人の日常生活でも国家レベルでも目立ちま
す。一方、”AND”は有益性の否定ではありませんが、大きな判断ではなく、小
さくてもよいから、多くが同じ方向へ動くことに有効性があるという考えなので
す。資本主義は大の有益性のために支配するという向きがありますが、合本主義
は大の有効性のために合わせて参加する意義があるようです。そういう意味で
は、合本主義で不可欠な要素は、多数が今日より明るい明日を迎えたいという共
感によって寄り集まることであります。新年は、日本の最も貴重な資源、ヒト、
カネ、そして時間を有効的に活用することによって、共に日本の新しい時代を拓
く一年にいたしましょう。
 
 
□  ■  付録: 「渋沢栄一の『論語と算盤』を今、考える」  ■  □
 
          「渋沢栄一訓言集」実業と経済
 
         国家の政治は財政を基礎とし、
         財政は経済を基礎とする以上、
       この経済機関の運転手たる実業家は、
           あらゆる政治問題に対し、
       常に中心的勢力であらねばならない。
 
国力の根源は経済力であるということは、栄一の時代でも、現代でも変わりませ
ん。陳情を繰り返しながら、日本の現状に嘆き、「政治が悪い」と指をさすの
は、単に責任転嫁になります。「グランド・ビジョンを描くべき」と政治に丸投
げすることより、一人ひとりがやれるところから、やる。それが”AND”の思想
です。
 
 
    「渋沢栄一伝記資料」社会公共事業尽瘁 社会公共事業
 
      明治初年の実業界は極めて微弱なものであつた。
            商人は小売、工業は手内職、
      これが日本の当時に於ける商工業の有様であつて、
         従つて資本の如きも極めて僅少なもので、
   銘々僅かな資本を持つては手内職をやり、それで満足して居た。
   その時代の欧米諸国は如何といふに、英国にせよ、米国にせよ、
             何れも合本主義である。
     商工業者の資本を集め、之に新進の学理を応用して、
        大仕掛けに仕事を仕様といふのである。
       鎖国で押通せるならこれで文句はないが、
 一旦国を開いて外国と交際するとなると、到底こんな有様では行かぬ。
 
職人的精神で内向きになっていることに満足している日本人。一方、欧米は大仕
掛けでグローバル・スタンダードをつくっている。明治や平成と時代が変わって
も、同じシーンが浮かび上がってきます。高齢化する日本にとって世界の成長は
不可欠であり、鎖国化は国の繁栄モデルの選択肢としてありえない。しかし、
「合本」思想であれば未来は拓けるかもしれません。
 
                                    
   謹白
 
              平成23年1月06日
 
              渋澤 健
 
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プロフィール
HN:
賀川資料館 学芸員 杉浦秀典
年齢:
52
性別:
男性
誕生日:
1964/10/06
職業:
博物館学芸員
趣味:
資料整理、バイク
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