賀川豊彦記念 松沢資料館の学芸員による雑記帳です。仕事上の出来語や、最新のイベント情報などを掲載します。(個人的な見解であり、資料館としての公式な見解ではありません。)
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先々週、中国上海の復旦大学の大学院生の方がこられて、資料を探してゆかれた。学部時代は米国アイビーリーグで人類学を修められた方であったが、大学院は母国中国での日中キリスト教の近代史、特に賀川豊彦について研究をされるとのことであった。流暢な日本語であり、三ケ国語を使いこなせる非凡さは、将来が楽しみな方である。昨年、シルジェンの中国語版が出たこともあり、韓国に続いて今後は中国での賀川研究の発展が望まれる。
その翌週には、同じく上海に留学中の日本人学生が訪問された。奇しくも近代史で賀川と中国の関係を研究されるとのことである。しかしこの方は、先の中国の方とは全く別に研究を進めておられた。同じ時期にお二人も、しかも同じ上海から… 目に見えない不思議な同時共調性ともいうような印象を覚えた。やはり時代が、賀川を要望しているのだろうか?他にも似たようなシンクロが起きているのかもしれない。
今後お二人の成果を楽しみにしつつも、さらに様々な角度からアジアにおける賀川研究が進んでいって頂きたいと願っている。
その翌週には、同じく上海に留学中の日本人学生が訪問された。奇しくも近代史で賀川と中国の関係を研究されるとのことである。しかしこの方は、先の中国の方とは全く別に研究を進めておられた。同じ時期にお二人も、しかも同じ上海から… 目に見えない不思議な同時共調性ともいうような印象を覚えた。やはり時代が、賀川を要望しているのだろうか?他にも似たようなシンクロが起きているのかもしれない。
今後お二人の成果を楽しみにしつつも、さらに様々な角度からアジアにおける賀川研究が進んでいって頂きたいと願っている。
ついでに余談を述べてみたい。これは小生がこちらの館にお世話になりはじめた頃、賀川豊彦のご子息の純基氏がおっしゃっていたことである。それは「ある歴史的な人物の評価は、死後50以上経なければ評価が定まらない。それには資料がでそろい、資料研究が落ちついてはじめて総括がなされる、だからそれぐらい時間がかかるのだ。」と、個人レクチャーを通じた薫陶を受けた。そして死後忘れられていたバッハがメンデルスゾーンによって再発見、紹介され、以後普遍化されたのだという事例を何度かお聞かせ頂いた(キルケゴールも後代の哲学者の発見から世に出たと何かで読んだが)。一人の人物の評価が形成され定まるには、膨大な時間が必要なのであろう。
この「時間」をどう見るかが難しい。この世は「成果」が見えるかどうかで判断しようとする。かかった時間(コストの理由のほうがが大きいが)に対して、なかなか成果が見えてこないと、無用な印象をもたれることもある。
とくにアーカイブズや他の文化資源施設がそういう目で見られがちだ。しかし水面下での地道な積み重ねがなければ、その後の大きな歴史的成果には結びつかない。こういった歴史に対する基礎的な情報を集め、整理し提供する資料館業務(文化資源施設の働き)を、忍耐深く見守って頂く期間もまた必要なのではないだろうか。
本年は、賀川の没後50年である。純基氏がおっしゃっていた時が来たのかもしれない。ようやく歴史研究にとっての旬の素材がそろってきた。多くの方々に賀川研究へのチャレンジをして頂けたら、学芸員冥利に尽きるばかりである。
この「時間」をどう見るかが難しい。この世は「成果」が見えるかどうかで判断しようとする。かかった時間(コストの理由のほうがが大きいが)に対して、なかなか成果が見えてこないと、無用な印象をもたれることもある。
とくにアーカイブズや他の文化資源施設がそういう目で見られがちだ。しかし水面下での地道な積み重ねがなければ、その後の大きな歴史的成果には結びつかない。こういった歴史に対する基礎的な情報を集め、整理し提供する資料館業務(文化資源施設の働き)を、忍耐深く見守って頂く期間もまた必要なのではないだろうか。
本年は、賀川の没後50年である。純基氏がおっしゃっていた時が来たのかもしれない。ようやく歴史研究にとっての旬の素材がそろってきた。多くの方々に賀川研究へのチャレンジをして頂けたら、学芸員冥利に尽きるばかりである。
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