賀川豊彦記念 松沢資料館の学芸員による雑記帳です。仕事上の出来語や、最新のイベント情報などを掲載します。(個人的な見解であり、資料館としての公式な見解ではありません。)
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この度、賀川豊彦著『宇宙の目的』(1958毎日新聞社)の英語版『Cosmic Purpose』が発売されました。賀川晩年の作品であり、難解な科学的思考を織り交ぜた、賀川固有の思想が展開された集大成として、当時評判を呼びました。勿論、はたして何人の方がこの書を理解していたかは定かではありませんが、とにかくこの度英語版が出たということは、ほぼ世界中の方がこの書を読めるようになったと言えることです。
英語版の編集は、トマス・ヘイスティングス氏(日本国際基督教大学財団ニューヨーク主任研究員・元東京神学大学教授)が担当され、テンプルトン財団から助成を頂いての企画となりました。アマゾンで購入可能です。ご関心がある方は、是非、お買い求め下さい。
尚、編集者ヘイスティングス氏の講演会が、きたる7月26日(土)14:00~明治学院大学9Fにて開催されます。これは、賀川豊彦学会の公開講演会として催されるものですが、どなたでもご参加可能ですので、是非ご予定下さい。
ところで、一昨日~昨日まで、賀川豊彦記念館・資料館連絡協議会が開催され、小生は二日目の友愛労働歴史館・会議室をお借りした協議会の席で、当館のデータベース運営を紹介したのですが、その際サンプルとして、『宇宙の目的』のデータを提示しました。その時表示した画像が下記です。
拡大しないと分からないのですが、じつは当時のタイトルは、日本語で『宇宙の目的』で、その下に英文で、”Purpose of Universe”となっていました。つまり、この度刊行された上記の書籍「Cosmic Purpose」と当時の書籍では、英語タイトルが変わっているのです。おそらく、今回の編集者が綿密な分析と理解を経てタイトルを決定されたのだと推測しますが、cosmos とuniverse では、果たしてどのくらい用語の印象が変わるのかと、その時関心を抱きました。
ちなみに、universe は、weblioによれば、ラテン語の「回転して一つになったもの」の意 (UNI‐+vers‐,vertere 「回転する」);を語源にしているとありました。(http://ejje.weblio.jp/content/universe)。対する cosmos は、ギリシャ語を語源とした「宇宙」であり、語意としては「秩序,宇宙,世界」とあり(http://ejje.weblio.jp/content/cosmos)同weblioのHP、少し下の別な辞書(ハイパー英語辞書)では、「宇宙, 完全体系, 秩序, 調和」と書かれています。
このあたりは、それぞれのの言語の専門家に聞かなければ、小生のような素人には正確には言える立場ではありませんが、素人目に映ったのは、cosmosは、反対後の chaos(無秩序、混沌)と対になって理解されるので「秩序」という意味からの理解が出来ますが、対する universe は、同辞書には反意語が表記されていません。そして気になるのは「回転する」という語源を持っていることです。そこから どうしても、cosmos とは違う印象を感じてしまうのです。
賀川は宇宙が目的を持って変化し、よりよい世界へと流転していくイメージを持っていたのであれば、「完全体系」や「調和」という静的なイメージよりも動的な「回転する」の意を持つ、universe の方が近い気がしてしまうのですが、「そんなのどちららでもいい!!」という声も聞こえてきそうなので、ここまでにします。とは言え、どうしても気になるので、いつか専門家にお尋ねしてみることにします。
とにかく、タイトル一つでも翻訳するとは、なんと大変なことなのだろうとお察しして、ご苦労をねぎらわずにはおられません。企画に関わられた皆様、本当にお疲れさまでした!(雑)
英語版の編集は、トマス・ヘイスティングス氏(日本国際基督教大学財団ニューヨーク主任研究員・元東京神学大学教授)が担当され、テンプルトン財団から助成を頂いての企画となりました。アマゾンで購入可能です。ご関心がある方は、是非、お買い求め下さい。
尚、編集者ヘイスティングス氏の講演会が、きたる7月26日(土)14:00~明治学院大学9Fにて開催されます。これは、賀川豊彦学会の公開講演会として催されるものですが、どなたでもご参加可能ですので、是非ご予定下さい。
ところで、一昨日~昨日まで、賀川豊彦記念館・資料館連絡協議会が開催され、小生は二日目の友愛労働歴史館・会議室をお借りした協議会の席で、当館のデータベース運営を紹介したのですが、その際サンプルとして、『宇宙の目的』のデータを提示しました。その時表示した画像が下記です。
拡大しないと分からないのですが、じつは当時のタイトルは、日本語で『宇宙の目的』で、その下に英文で、”Purpose of Universe”となっていました。つまり、この度刊行された上記の書籍「Cosmic Purpose」と当時の書籍では、英語タイトルが変わっているのです。おそらく、今回の編集者が綿密な分析と理解を経てタイトルを決定されたのだと推測しますが、cosmos とuniverse では、果たしてどのくらい用語の印象が変わるのかと、その時関心を抱きました。
ちなみに、universe は、weblioによれば、ラテン語の「回転して一つになったもの」の意 (UNI‐+vers‐,vertere 「回転する」);を語源にしているとありました。(http://ejje.weblio.jp/content/universe)。対する cosmos は、ギリシャ語を語源とした「宇宙」であり、語意としては「秩序,宇宙,世界」とあり(http://ejje.weblio.jp/content/cosmos)同weblioのHP、少し下の別な辞書(ハイパー英語辞書)では、「宇宙, 完全体系, 秩序, 調和」と書かれています。
このあたりは、それぞれのの言語の専門家に聞かなければ、小生のような素人には正確には言える立場ではありませんが、素人目に映ったのは、cosmosは、反対後の chaos(無秩序、混沌)と対になって理解されるので「秩序」という意味からの理解が出来ますが、対する universe は、同辞書には反意語が表記されていません。そして気になるのは「回転する」という語源を持っていることです。そこから どうしても、cosmos とは違う印象を感じてしまうのです。
賀川は宇宙が目的を持って変化し、よりよい世界へと流転していくイメージを持っていたのであれば、「完全体系」や「調和」という静的なイメージよりも動的な「回転する」の意を持つ、universe の方が近い気がしてしまうのですが、「そんなのどちららでもいい!!」という声も聞こえてきそうなので、ここまでにします。とは言え、どうしても気になるので、いつか専門家にお尋ねしてみることにします。
とにかく、タイトル一つでも翻訳するとは、なんと大変なことなのだろうとお察しして、ご苦労をねぎらわずにはおられません。企画に関わられた皆様、本当にお疲れさまでした!(雑)
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